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酸化グラフェンナノシート学会の設立趣旨について
酸化グラフェンナノシート学会 会長
国立大学法人 熊本大学 先端科学研究部 速水 真也
炭素のナノマテリアルとして、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブは特に有名な材料であり、前二者はノーベル賞受賞対象材料である。その特異な構造や物性のために、数多くの研究がなされており、国内でも既にこれら材料に関する研究会等が設立されている。一方、グラフェンが酸化された酸化グラフェン(GO)もまた世界中で活発に研究が行われている。GOが他のナノマテリアル、特にグラフェンと大きく異なる特長は、それが安価に大量に生産できるだけでなく、様々な機能を示すことである。すなわち、安価な天然グラファイトを酸化処理し、酸化グラファイトを作製し、これを水に分散させるだけで、簡単に一枚のナノシートからなるGO分散水溶液が大量に得られる。このことは、実用材料として多くの可能性があることを意味している。GOは多種多様な酸素官能基や欠陥を有する複雑すぎる材料であるため、物理系の研究者から敬遠されがちである。しかし、実用的に優れた材料であり、その応用分野・範囲は極めて広く、国内でもさらなる研究活性化が必要である。
本研究会の趣旨は、GOの実用性と広範な応用分野の観点から、国内産業イノベーションを図る目的で、産業界とアカデミックな大学等の研究者が一堂に会し互いにコミュニケーションをとりながら、GOおよび関連材料の基礎から応用までの研究を深化させるだけでなく拡大させることにある。これまでのGO研究の流れの中で、様々な異分野への応用展開が大きく進んでいることは注目すべきであり、今後自らのオリジナル研究にGOを組み合わせることも可能であろう。このような観点から、関係ないと思われる分野の企業や研究者も積極的に入会されることを祈念している。
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